Hold on now !!

□Hold on now !! J
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スケッチブックを見せてもらうと、鉛筆で描かれた綺麗な紫陽花がそこにあった。

俺には芸術の事なんてよくわからないが、単純に上手いなと感じた。


「あっ!丁度いい!森川君の顔をスケッチさせて欲しいんだけど」

「いやいや…そのまま紫陽花を…」

「頼むよ!少しでいいんだ!」


すごい勢いで俺に掴みかかってきた宮前。
その拍子にスケッチブックが俺の顔に当たったのは言うまでもない。


「あぁあぁあぁ…ゴメンなさい…」

「相変わらず宮前は飛ばし過ぎなんだよ…」

「あぁ…でも…」


完全にションボリである。
耳としっぽが垂れ下がってるのが見えるようだ。


「ハァ…少しだけだぞ」

「ほっ、ホント!?ありがと!じゃっ、じゃじゃ…そこに適当に座って!?」


背の低い雑草が生い茂っている所を指し示された。
俺はそこに胡坐をかく。

すると宮前は少し離れた所でスケッチブックを広げた。
体育座りをして熱心に鉛筆を動かし続ける。


相変わらずの、綺麗なトマト色だ…。

ナチュラルショートで御洒落感があるんだが、俺的にはポワポワのパーマをかけて頂きたかった。

そんで『アム ラーヴィニッ!!』って叫んで欲しい。


暫くそうしてると、宮前はピタッと手を止めた。
パタンッとスケッチブックが閉じられる音が鳴る。


「終わったのか?見せてくれよ」


俺の目をジッと見る宮前の眉間には皺が寄っている。


何で?
俺はモデル失格って事か?


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