テニプリ短編夢小説
□シャッターチャンスは一度だけ!
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「え…??」
「いい?」
「いい…というか。何で…??」
困ったように微笑むその顔を。
当たり前のように過ごす日常がこんなにも優しかったと。
そう分かるものが…欲しくて。
「何で…かな?でも止まらなかった。…大丈夫?」
彼女はこくりと頷くと友達の元へ戻っていった。
その顔は二度と見せないと分かっている。
この時、この瞬間の彼女が。
もう一度見たいと願ってしまうから僕はシャッターを押す。
何故か思う。
一度か二度しか喋ったこともないのに。
僕のものであって欲しい。
でも、自分のものであるがために失ってしまう表情があるのなら。
あまりに一瞬の奇跡が多すぎて、シャッターを押し忘れてしまうなら。
その笑顔はいつでもあると油断するのなら。
わざと距離を置いてみよう。
それでももし。
僕が物足りなくなってしまったら。
一つひとつの表情を間近で見ていたいと願うなら。
僕にしか見せない表情があるのなら。
欲が強くなってしまったら。
「僕のもので…いてくれますか?」