飛鳥シリーズ(杏)
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氷帝に入学して、今日で三日目。
とんでもなく広い敷地やらやたらと豪華な校舎に圧倒されつつも、ようやくこんなものかと受け流せる様になってきた。
とりあえず、本が沢山あるから文句はない。
夕食の席でそう母に言ったら、どこか物足りない顔で「そうなの」と返された。
「飛鳥が楽しいなら良かったじゃない」と言う母にむかついたその翌日以来なんとなく敷地内を歩き回る。
何を探して歩いている訳でもないけれど、止めようとは思えなかった。
……他に、やる事も見つからなかった。