初恋

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□ 逃走 □


伊勢への街道は、整備されており大きな危険もなくたどり着くことができた。

日の本一の神社である。
参拝者ももの凄い人数だ。


今川は織田に討たれたそうだ。
政宗と幸村はどうしたのだろうか…。

無事だと良いのだが。


皇神宮をぐるりと囲う鎮守の森の参道を歩く。
森を抜けると、やはり神宮を囲う様に川が流れている。


鳥居をくぐり、参道へ入る。
一番奥の奥神殿へと向かう。

いくつもの神の社を通り、奥神殿へと辿り着き、そこの巫女へ神殿長へ到着の報告を頼む。

そのまま、裏の滝へと向かい禊ぎを行う。
汚れはもちろん、身の汚れは全て落とす。

対応してくれた巫女が、新しい正装を用意してくれる。
牡丹は白衣に藍色の袴を纏っていたが、白衣に薄い紫の袴が用意されていた。


高位の神官と皇族しか入館を禁じられている館へと案内してくれる。

「失礼いたします。
牡丹でございます。」
入室の許可を貰い、中へ入る。

神社とは思えぬほど、高価な品が飾られている。

「牡丹。
早速だが本題だ。」

奥州の伊達軍の件、何故もっと早く分からなかったのだ。と問われる。
しかし、伊達の政宗も、その父政輝も神宮の存在を警戒して政宗の存在は秘められていた。
まさかこんなに早くに代替わりするなど予想出来ただろうか…。

伊達が力を付けてきていると言う事は報告していた。

困ったことになっていると神官長は言う。
戦況としては織田と連合軍に別れ戦争が始まりそうだ。

武田と上杉が手を組むだけで厄介なのに伊達までがそこに名を連ねる。


確かに、地方大名を一網打尽にする為には手を組まれると厄介だろう。

織田が天下を取ったのちは、明智光秀が暗殺するように手筈は整えてあるという。


「私はこの仕事を辞めさせていただきたいのです。」
神官長の話が途切れたところで、口を挟む。
「何を言っているのだ。
許可できない。」
「誰かを貶めたり、策を張るようなことは…もうしたくないのです。」
「無理だ。」

牡丹は色々知りすぎてしまっている。
神宮も間諜は人手不足だ。

それに新しい役目がある…と言う。

「新しい役目…でございますか?」

織田を制した暁には、豊富秀吉に天下を取らせると言う。
そこに行けと言う。

「竹中半兵衛、参りました。」
障子の外から声が掛けられる。
「入りなさい。」
1人の男が入って来る。
諜報活動をしていた牡丹だ。
何度か名前は聞いたことがある。
優秀な策士だと聞く。

髪は銀糸のようで、顔には仮面。
変わった恰好をしている。
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