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□眠れないんだ
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ザァーっと雨が降ってきたかと思えば、いきなり明るくなり、ゴロゴロッと耳が張り裂けるような音がする。
ガタガタと窓ガラスが揺れ、ドラム缶のような、何か音がするような物まで転がっている。
直接見たわけではないが、これぐらいならいくらでも想像できる。
どこかに雷が落ちたのではないか、とか。木が折れたり、屋根の瓦が落ちたのではないか、とか。
(寝れない…)
そんな中で一乃は、一人で暗い部屋の中で眠れずにいる。
別に、雷が恐いとか、ではない。
自分だって中学生で、男だ。これぐらいどうってことない…のだが。
(雷がうるさくて眠れない…しかも光って眩しいし……)
うっすらと目を開け、手探りで布団の中から携帯を取り出す。
ディスプレイにはAM02:18の文字。
こんな大雨だ、たぶん、あっちも起きてるだろうと思い、相手を呼び出す。
プルルル…と何回も何回も鳴り、一向にして相手が出るような気配はない。
「……でないし……」
そう呟き、ボスン、と頭を枕へ預け、寝ぼけた頭をグルグルと回し、考える。
(青山が出ないとしたら、向坂か…いや、たしかあいつ携帯無くしたとか言ってたな…、吉良は…怒りそうだしやめよ)
「あ……」
ぱっと何かをひらめくと、自然と微笑みながら電話帳を開き、相手を呼び出す。
たぶん、出てくれるよな……?
☆★☆
外の雨やら雷やらの音で、寝れないな、と神童は思いつつも、瞼が今にも落ちそうで目がトロン、となっている。
(寝よう……)
そう思い、ベットの中へ潜り、目を瞑ること数秒、ブーブーっと音が鳴り、慌てて飛び起きる。
びっくりした、とまだ眠い目を擦りながら部屋の明かりのスイッチを押し、今でも音が鳴っている携帯電話を手に取り、通話ボタンを押し、電話に出る。
『あ…神童?』
電話の相手は案の定、自分が恋心を抱いている相手で、驚きのあまりパっと目が覚める。
「一乃…?どうしたんだ、こんな夜更けに…」
『あ、いや、そのー…大した事じゃないんだけどさ…、えと…』
歯切れの悪い一乃に対して、神童は少し溜息を吐く。
「…はぁ、…何かあるのか?」
どうせ、宿題をしてないとか、そんなことだろうなと思い、パラパラとノートをめくる。
『あのさ、朝まで付き合って欲しいんだけど…?』
ピタ、とノートを捲る手を止めると、「え?」ともう一度一乃に問う。
すると相手は少し恥ずかしそうに、
『だから、その、雷が恐いとかじゃなくて、うるさくて寝れないから、それで、寝つけるまで神童と話したいなぁ…て。駄目?』
いつも、あまり自分に頼って来ない一乃だ。
そんな彼のすこし甘えたような声に神童は少し鼓童が跳ねるのを感じ、可愛いな、と微笑む。
「…いいよ」
『…本当か?…ごめんな?』
そんな、猫みたいな甘えた声で言われたら、断れるものも断れないって。
「…で、なにを話すんだ?」
『…え。とりあえず、俺より先に寝るなよ。…絶対だからな!』