春望(オリ)

□初めて・・・?
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「あ。・・・えっと――・・」
「の、のぞみ!伊集院 望!!」
「ああ、そうそう。望!!」

あの人は昔っから物覚えが悪かった。
6年間ずっとあの人に恋をして、やっと会えたのに、ずいぶんと素っ気ない再会。
堀巻 春樹
その名前は、俺の心をむずがゆくする。
「春樹、久しぶり!」
本当はそんな言葉じゃなくて―――・・・
『ずっと好きでした』
この言葉が言いたいのに
言ったらすべてが壊れてしましそうで。
「あー、6年ぶり?相変わらず、女々しいなァ。望は。」
「なんだよ!これでも背は伸びたんだぜ?」
「今、何センチ?」
「ひゃ、160・・・」
その場で、ぶわははは!と笑い転げる春樹。
この野郎・・・蹴ってやろうか。
「中学三年になって、160!?俺より15センチ下!?あっははは!」
「このっ・・・春樹〜〜!!!!」

**********************

春樹がこの学校にいたことに気付いたのは、新しいクラス名簿を目にしたときだった。
傍多陽東中学校は、全校生徒800人。
クラスが8クラスもあるから、同じ学年の子の名前なんか1、2年一緒だった子ぐらいしか知らなかった。
そして3年。
神様、これは運命ですか?
小学生のころ恋をした、あの人に
俺はまた
胸が熱くなるのを覚えていた。
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