春望(オリ)

□成瀬の心境
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わぁわぁ騒いでいる望たちを見て―――成瀬は、湧き上がる感情を抑えていた。

――ちがう。これはフラグではない、と。
彼女がなぜこの学校へ来たのか、それは実に簡単であった。
中学一年生の時、こちらに引越すことになった成瀬は、どこの中学に行くのか母に相談中で・・・
運命か、はたまた神様の気まぐれか。
腐女子である彼女を、元男子校の中学へと導いたのだった。
案の定、女子の割合は少なく、男子の方が多かった。
そして現在この状況下で、彼女の妄想を止める者はいない。

――ああ、かわいいなぁ。この二人の絡みは。・・・っは!いけないいけない。何を言ってるんだ私!消えろ邪念!!ゲットバック煩悩〜!!!

「おい、成瀬?大丈夫か?」
「だだだ大丈夫だ!問題ない。」
ついこのセリフで返してしまっているあたり、大丈夫ではない。
「い、伊集院!ほら、先生!きたよ!!」
なんとか話題をそらした。
「え?ああ。うん。」
「あは、あはははは?」
乾いた笑いが妙に罪悪感を感じる。
ごめん―――君は堀巻のものだったね。・・・ああっ!!また私は〜!!!
「こらー。席にひざまずけー。」
「先生!!それ若干おかしいです!!!」
成瀬さん渾身のツッコミ。
「なぁ〜るせぇ。お前、男と話してるヒマあったら勉強しろ。」
「伊集院は男じゃない!男の子だっ!!」

「・・・・・・成瀬?」

ちーん・・・・・・

私、もう生きてゆけない・・・
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