春望(オリ)

□過去のお話 後編
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それからというもの、俺はクラスに溶け込み、新しい友達ができた。
まず、春樹。これは当然。
それと、電化製品オタクの社楽 勇気。
俺たちは基本このグル―プでつるんでいた。
「社楽〜。遊びに行こーぜ―」
「うんうんはいはい。今行くって。」
「伊集院も〜!」
「うん!!」
つい元気よく答えてしまった。
ふいにトントン、と肩をつつかれた。
「・・・伊集院、顔。顔。」
「へ?何、社楽?」
「・・・・・・はぁ〜・・・いや、いいよ。行こうか。」
「?うん」
今になってわかったコトだが、どうやら社楽は、俺が春樹に気があることを薄々分かっていたらしい。
・・・当の本人がわかっていなかったというのに。

休み時間もプールも音楽会も運動会も、ずっと一緒に過ごしてきた。
いつしか俺は春樹に『望』と呼ばれていた。
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