春望(オリ)

□アイアイガサ
1ページ/4ページ

じゃあ、俺んちソコだから。って
言おうとした瞬間だった。
「望」
フルネームで俺の事呼ぶくせに、また名前だけで呼ばれたから
なんだかそれだけで、無性に胸が苦しくなって。
藤沢の方を振り向いてしまった。

頬に伝わる、柔らかい感触。
「・・・ひぁッ!?」
こそばゆくて、声が出た。
何・・・?え・・・??
これって、キス?
マジかよ!?
正気に戻った時には、もう藤沢はいなかった。
「・・・なんで、キス・・・」
「あらまー、キッスされちゃいましたな」
「うわぁッ!?」
なんだよ!
成瀬かよ!!!
つーかいたのかよ!!!
「あれお前って、江住とコンビニよって帰ったんじゃねぇの?」
「ふっふっふ。真李那は私がレジをすませている間に帰っちゃいました!」
「うわ悲し!!」
「おまけに携帯にもでやがらねぇのよアイツ〜」
「ははは・・・ご愁傷さま」
・・・ちーん
俺は心の中でそっと労わりの鐘をならした。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ