甲斐の国のツンデレ

□#11:柔らかい蕾に。
1ページ/1ページ




「でさ、料理は謙信に習ってるわけ?」


「へ!?」


この男…

前田慶次…だっけ?


料理になぜこんなにも喰いついてくるわけ…!?


しかも、今さっき出逢ったばかりだと言うのに…なんか馴れ馴れしい?




「俺、料理ならやっぱ、まつ姉ちゃんだと思うんだよね!」



「まつ姉ちゃん?」


「まつ姉ちゃんの料理はおいしいよ!やっぱ料理は愛だからね!」



料理は愛…!?

そんな恥ずかしいことサラっと言えちゃうもの!?


「まつ姉ちゃんと利みたいに、やっぱり愛する人に食べてもらってこそ料理の腕も上がるってもんだよ!」



愛する人…!?//



「佑香ちゃんにもいるのかい?そういう相手」



「い・い・いないに決まってるでしょ!な・何言ってんのよ!」


「初だねぇ。そんなんじゃ、恋の花もなかなか開かないよ!」


「違うってば!!」



どばっぷ!!



「いってぇ!」



…しまった!

初対面の相手を殴り飛ばしてしまった!




「佑香ちゃん、真っ赤!」



「う゛…」


謝れ!謝れ!謝れ!私!



「ごっ、ごめ…ん…なさ…い…っ」




「え?あぁ、別にいいってことよ!このくらいの方が新鮮だしね!」


「本当にそう思う!?」


「な・どうしたの!?佑香ちゃん!?」


「…幸も、そういう方に想ってくれてるかな」



あれだけ叩いても、ひねくれたこと言っても幸が怒ったことはなかった。



「幸って、真田幸村のことだったりする?」


「!?//」


「あ、もしかして当たり!?そっかー、真田幸村かぁ。初同士だね!」


「幸が…初?」


「だって、ちょっと女の子に触られただけで、『破廉恥でござるー!』だからねぇ。」



んーと、私、よく触ってるような…?

というか、触るっていうより叩いてるんだけど…


あれ!?あれ!?あれれ!?



(どうしたの!?)
(あれ!?あれ!?あれれ!?)
(…俺、何か言っちゃったかなぁ)


#11:柔らかい蕾に。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ