後ろのちょかべ
□#10:突然の告白
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「して、なんだ。」
「…」
さて、相談を聞いてくれると言って、座ったナリの横に座ったわけなのですが。
…どう、切り出しましょうか。
「…なんぞ?我には話せぬ事と抜かす気か?」
あ、ナリが怒り出した。
仕方なしに、話し出すことにした。
「…ナリ、もしもよ、もしーもよ?消しゴム貸して、それを返してもらった時、貸した相手、しかも男子の名前が書いていある場合、どう思う?」
無難にそう聞いてみた。
すると、ナリは、ほぉ。と言ってから続けた。
「貴様ごときを好きになる輩が居たとはな…」
やっぱりあれは、佐助くんが言った通り…
ちょかべ君は…
そこまで考えて、黙り込んだ幼馴染が気になった。
いや、何か考え込んでいる感じもする。
彼の周りのオーラで不機嫌なのは解った。
どうしたんだろうか?
何に怒っているんだろうか?
「…ナリ?」
そう話しかけると何でも無いと返された。
何?本当、どうしたんだろうか?
「して、仲本。貴様は相手をどう思って居るのだ。」
ハァーとため息をついたナリは私にそう尋ねた。
今度は私が黙る番だ。
ちょかべ君を私がどう思っているのか。
そんなの、解らない。
まだ出会って2、3日しか経って居ないのだ。
その間に彼と言葉を交わしたのも両手で足りるぐらいだ。
そんなのじゃ、まだ彼の事を解りきれない。
そこまで考えて、思った。
ちょかべくんは私をどう思っているのだろうか。
本当に、佐助くんが言ったような想いを込めて書いたのだろうか。
間違えて名前を書いた可能性だって0じゃない。
あの時、私と彼は名前すらも知らない関係だったのに、
あの時、私と彼は会話なんてまともにしてなかったのに、
あの時、私と彼はただ単に席が前後だっただけの関係だったのに。
「…仲本よ」
「…」
ナリが言った。
「我は貴様が好きぞ」
#10:突然の告白