Final Fantasy 長編

□Edgar Call
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一目見ればその輝きの美しさに魅せられ、それを持つ者を至上の幸福へと誘う、霊峰コルツの奥に眠りしフィガロの財宝。
それを手にし者の願いを叶え、決して会うことの出来ぬ者との再会を果たす事も可能とされる。遥か昔より人々が欲し、多くのハンターが山へと入った。だが、その財宝を見つけた者は現れず、いつしかただの夢物語としてのみ語り継がれる事となった。


「で、それを俺に探せと?」
フィガロ城の国王の執務室。突然久しぶりに財宝の話を伝書鳩で伝えられ、意気揚々と乗り込んできたロックが不満げな表情で見つめるその先に、書類の山から一向に顔をあげようとしないエドガーがいる。
「別に探せって言ってるわけじゃない。 不満かい?泥棒のお前の力を借りれば難しい事じゃないと思うんだが。」
「トレジャーハンターだ!!」
やってる事は同じだろうが、と呟いたセッツァーに、ぜんぜん違う、と言い張るロック。エドガーが書類の山の向こうで笑っているのに気づき、ロックはますますムキになった。
「あんなのただの夢物語だ!! ない物探せって言われたって無理に決まってるだろ!」
コルツ山の財宝の話は、もちろんロックも知っている。リターナーに所属する前のことだが、探した事もある。だが、結局見つからなかった。コルツ山を岩一つ一つ隅から隅まで丹念に調べ上げた。それでも、財宝はおろか、手がかりすらも全く見つけることが出来なかった。
「そりゃお疲れさま。」
エドガーは印章を押し、最後の一つを堆く積まれた山の上においた。ようやく顔を上げ、ロックとセッツァーに、にこりと笑う。
「だけどね、私がいつお前に財宝を’探してほしい’って言った?」
へ?、と呆けた顔になったロックに机の引き出しから取り出した古い地図を渡す。下手に扱えば破れてしまいそうな黄ばんだその地図を、ロックは応接セットの机に広げる。昔のコルツ山の全貌が描かれたその地図の一点をエドガーが指差し、ここにある、と言うエドガーの声を聞き、我に返ったロックの目がきらきらと輝きだした。現金なやつ、とセッツァーがため息混じりに漏らした言葉も全く聞こえていないようだった。
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