夢小説【短編】
□貴方がいてくれるから
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今日もお客さんから理不尽なクレームを受けて
自分のミスでもないのに謝って…
上司は仕事を全部私にまかせっきりで先に帰っちゃうし…
毎日毎日、人のミスの尻拭いばかり。
どんなに頑張っても誰も見てくれないし、
頑張りを認めてくれない。
労いの言葉の一つも無い。
あぁ。何で私は毎日頑張ってるんだろう…。
こんな風に落ち込んでいる時は早く羽鳥に会いたい。
会って力強く抱きしめて欲しい。
貴方がいてくれるから
今日もくたくたになるまで働いた私は、会社を出てすぐに
自分の家ではなく、恋人の羽鳥の家を目指して歩いた。
会いに行くなんて一言も言ってないけど、今日はどうしても羽鳥に会いたい。
「とは言っても…トリも疲れてるよね…」
腕時計は既に23時を指していて、校了明けの羽鳥はきっと家に帰って寝ている時間。
マンションの前まで来たものの、訪ねて良いものか今更ながらに不安が過る。
どうしようかと悩んでいると、肩にかけているバックから電話の着信音が響いた。
こんな時間に誰だろうと携帯を取り出せば、今正に訪ねようとしている人物の名前が表示されている。
「もしもし、トリ?」
『なまえ、お疲れ様。仕事は終わったのか?』
「うん、さっき終わったよ。トリもお疲れ様…というか調度良かった、ねぇトリ。今から行っていい?」
『それは勿論良いが、危ないから迎えに行く。今何処だ?』
「…ここ」
そう言って玄関のチャイムを鳴らせば、携帯を耳にあてた羽鳥が驚いた表情で玄関の扉を開いた。
そしてその表情はすぐに柔らかい微笑みへと変わる。