夢小説【連載】

□一ヵ月の恋人〜8〜
1ページ/3ページ


「うぅ…苦しい…」

「一気に食べ過ぎだ馬鹿。」
くぅ…元はと言えば羽鳥達がこんなにいっぱい買うからいけないんでしょうが…!
そう言い返したくても苦しすぎて言葉が出ない。

食べ物は作りたてが一番美味しいからともくもくと食べていたら
当然の如く苦しくなってしまったのだ
最初に林檎飴を食べなきゃ良かった…
あれは明日でも美味しく食べられたなぁ

私はまだまだ沢山の食べ物が入っている袋を見ながら『明日のごはんはこれで決定だわ…』とため息をついた。


「なまえ、そろそろ花火が始まるから河原に行こうか
座って休んでいれば帰る頃には随分消化するだろう」

「うん、行こっか。楽しみだなぁ花火!」


色々と話しながら歩いている内に河原に着き、
私は適当な場所で足を止め、羽鳥に言った
「ここにしよっか?」
回りには家族連れやカップルや
友人同士で来ている茶髪や金髪の若い男の人たちがいる。
あぁいうタイプの男の人は苦手なのでなるべく避けたいが、
これだけ人が多いとそうも言っていられない。


「そうだな、花火も良く見えそうだし…じゃあ俺は飲み物でも買ってくるからなまえはここで座ってろ。オレンジで良いか?」

「え…オレンジで良いけど…トリ一人に行かせるなんて悪いよ、私も一緒に行く!」
さっきも不本意とはいえ沢山買って貰ったのにこれ以上買わせるのは流石に気が引ける


「良いって、歩きなれない下駄で疲れただろう?ゆっくりしてろ」
そう言って羽鳥は優しく微笑んだ。
確かに歩きなれない下駄で少し靴ずれを起こしかけていて、
今これ以上歩くのは少し辛い状態だった。

流石羽鳥…気が付く人だなぁ。

「じゃあ…お願いします…なるべく早く帰って来てね?」
一人が心細い私はトリの服の裾を持って見上げた。

「え…。どうしたんだ?そんな風に言うなんて」
驚いた表情の羽鳥を見て、
瞬時に自分の言った事が恥ずかしくなった

「べっ別に何でも無い!」
(何を言ってるのよ私は!
まるで少しの間でもトリと離れるのが寂しいって言ってるみたいじゃない!)
恥ずかしさのあまり顔を伏せていたら
羽鳥は私の頭をポンポンと撫でて
「すぐに帰ってくるよ」とだけ耳元で囁き、
飲み物を売っている屋台の方へと歩いていったのだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ