CP小説
□ご褒美
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『夏といえばビールだろ』
そんな高野さんの一言から始まり。
俺達エメラルド編集部は今、丸川書店近くのデパートの屋上で催されているビアガーデンに来ている。
「…と言う事で。入稿お疲れ!今日は俺の奢りだ、存分に飲め!」
高野さんがそう乾杯の音頭を取ると、皆で一斉にビールの入ったジョッキ同士を
カチャン!と軽やかに鳴らして乾杯した。
「「「「お疲れ様です!ご馳走になります!」」」」
羽鳥さん、木佐さん、美濃さんに遅れないように俺も口を揃える。
「あー。美味い」
そう言いながらジョッキを片手に一息つく高野さん
「風も気持ちいいですし、ビアガーデン日和ですね」
優しく微笑みながらビールを口にする羽鳥さん
「わ〜このステーキマジ美味ぇ!」
「あっちには自分で作るカクテルまであったよ、ここのビアガーデン豪華だね」
楽しそうに食事や酒を楽しむ木佐さんと美濃さん
そして…青ざめた表情でビールを一口だけ飲み、ウーロン茶を確保する俺。
「あの…今日入稿したばかりで…皆さんさっきまでリアルに死んでましたよね?俺、まだ胃が痛いんですけど」
…そう。ついさっきまで俺達は入稿の為に駆けずり回っていたのだ。
三日連続で徹夜し、入社して以来初めてと言っても良い程のデッド入稿を経験したばかりで…
それなのに何で皆が今こんなに元気なのかが分からない。
「何ー!胃が痛いだとー!?律っちゃん消毒が足りないんだよ!飲め飲めー!」
「はぁ!?」
もうすでに酔っぱらっている木佐さんはビールを片手に俺に迫ってくる
「アルコールには消毒作用があるからな」
「羽鳥さんまで!?」
いざという時は助けてくれると思っていた羽鳥さんは涼しい顔でビールを飲み
木佐さんを止めようとはしない。
「ほらほら飲めよ律っちゃーん!!」
「ちょ…木佐さん止め…ぎゃぁぁぁぁぁ!」