マイナスから始まる恋

□マイナスから始まる恋
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〜〜〜第一話〜〜〜


夜 池袋某アパート

愛羅視点


「あー……愛羅、お前に仕事だってよ」

『……誰?』

「確か―――」


夜、アルバイトから帰ってきたら寝転がってパソコンを眺めていた男が、私に気付いたようで面倒臭そうに呟いた。

こっちはアルバイトで疲れているのだ―――そう思ったが、急ぎの仕事らしく男は[頼んだよー]とこちらを見ようとしないまま器用に足を左右にヒラヒラと振っている。

そんな姿や[ちゃちゃっと終わらせて飯作ってくれ。腹減った]という言葉にイラっとしたが、喧嘩だったり仕事だったりする時には助けてくれるので足蹴りだけで我慢した。


―――私偉いな。

―――本当ならあんな事やこんな事だってやってやりたいぐらいなのに……。


男を目の前にしながら危ない事を考えていると相手も[やーん、愛羅に殺されるー]とか平気で言うので今度は包丁を投げたくなったが、冷静に[キモっ]と小さく呟くだけにしておく。


「気持ち悪いなんて……。お母さん、そんな子に育てた覚えはありません!」

『育てられた覚えもありません!』

「……。ま、適当に頑張って来てくれ」

『……。……はいはい』


―――――――……

数十分前

――チャットルーム――

――タキさんが入室されました――

タキ[初めまして―]

タキ[そして久しぶりでーす]

甘楽[あらぁ、新人さんー?ここのアドレス教えていないんですけど……どうやってこの場所を]

タキ[俺を忘れるなんて酷いですよ、甘楽さん]

セットン[甘楽さんの知り合いですか?]

田中太郎[こんばんは]

田中太郎[初めまして]

甘楽[え?え?]

甘楽[ちょーっと待ってくださいねー☆]

――内緒モード――

タキ[いつも俺に仕事を回そうとしてくる人はどこの誰かなー?]

タキ[一回その脳を取り換えて縫って貰ったりしたりしては如何だろうか?折原臨也]

甘楽[仕事を回そうとしてる……ああ、貴方ですか。たくさんのハンドルネームを持つ卓弥さんがどうしてこんな所に?]

甘楽[仕事を受けてくれる気になったんですか?それならそれで俺としては大歓迎ですけど]

タキ[寝言は寝て言え]

タキ[お前の仕事は面倒そうだからな。そして、俺は面倒臭がりだ。故にやらない。OK?]

甘楽[……面倒事は誰にやって貰っているのか、非常に気になりますけどね]

タキ[俺の周りを探っても埃しか出てこないぞ。まあ今日は挨拶に来ただけだしな]

――チャットルーム――

タキ[甘楽さんが俺の事を思い出してくれたみたいで凄く嬉しいです]

タキ[また来まーす]

――タキさんが退室されました――

セットン[……よく解らない方でしたね]

田中太郎[また待ってます]

――内緒モード――

甘楽[埃?笑わせないでほしいなぁ。貴方には極上の人材がいるじゃないですか]

甘楽[愛羅っていう極上の人材が、ね]

――チャットルーム――

甘楽[ま、そんな事はいいじゃないですかぁ!話の続きなんですけどー――]






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