GOD EATER
□すれ違いの中で
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研究室の奥できゃっきゃと騒ぐ女性が2人。
アリサとサクヤである。
「これなんかどうですか?きっと似合いますよ!!」
「そうねぇ…でもこっちの方がいいんじゃないかしら?そっちは肌が白いのが際立っちゃうもの…」
アリサは真っ黒なゴシック服、サクヤはシンプルなカーディガンをそれぞれ掲げてシオに宛がっている。
各々のセンスをシオに押し付けているだけということに本人たちは気付いていない。
互いに競っているかのように見える。
「ちくちくいやだー…」
「でもシオちゃんずっとそんなボロボロの服じゃ…」
確かにそれは服とは言いがたい…見方によってはただの布だ。
しかし普通の素材ではシオの体質には合わなかった。
あてるだけでも拒絶されてしまう。
「お前ら何やってんだ」
「あら親バカが来ちゃったわ」
そこへソーマがいきなり部屋に入ってきた。
心配で実は何分も前からスタンバイしていたに決まっている。
「親じゃねぇし子でもねぇ!!」
眉間に皺を寄せる彼だが、今日は少し機嫌が良いようで…
シオを目にした途端柔らかい表情になった。
「そんなことはどうでもいい。おいシオ、こいつだったらどうだ?ちょっと触ってみろ」
そう言って差し出したのは小さな毛の塊だった。
一瞬ただの綿かとも思われたが違った。
光の加減でキラキラ光っている。その黄金の輝きは何かを連想させた。
「何ですか?これ…」
「コンゴウの毛皮らしい、任務の時に入手した。さっきサカキに聞いてきたから間違いない」
これならシオも居心地がいいはずだと博士が判断したという。
つまりアラガミは自身と異なる物質で造形されたものには拒絶反応を起こし、同じ物質で造形されたものとしか共存出来ないということだった。
「わぁぁ、きもちいいふわふわするぞー」
シオは喜んで顔をすりすりと擦り付けている。
「肌がちくちくっていうのは皮膚が拒絶反応を起こしてたからだったのね…これはコンゴウ…つまりアラガミの物質で出来てるから安心ってこと?」
「そういうことだな」
アラガミの肌はああ見えても案外敏感でデリケートとでも言いたかったのか。