ひかり輝くものがたり
□たくさん想いを詰め込んで
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「ゲーデ、またこんな所にいたのね。」
甲板に出ると、すぐにその姿を見つけた。
船の縁に腰掛けているゲーデを見つけて、柔らかく微笑んだ。
ゲーデは一瞬だけノコを見てすぐに目を反らす。
「ね、ゲーデ。一緒にご飯食べよ?みんな待ってるよ。」
「何度言ったらわかるんだ。俺は食べ物なんか無くても生きていける。人とは違う。」
目も合わさず、そう吐き捨てた。
ノコは眉を下げる。
ゲーデは人とは確かにちょっと違うから食べる事によって、それが栄養になって・・・なんて事はないかもしれない。
けど、だからってみんながご飯を楽しく食べているとき甲板で独りきりなんて悲しい。
「そんな顔して突っ立ってたって無駄だ。オレは無意味な事はしない。ここにいる。」
「みんなで一緒に食べると美味しいのに。セルシウスさんだって食べてるんだよ」
「オレには関係ないな」
「意地っ張り・・・。」
ゲーデだってパニールのご飯を一度でも食べれば、大好きになるはずなのに。
・・・・・・あ!
ノコは何か思いつくと、食堂にすっとんで行った。
食堂のドアが開くと、向こう側ではみんなそろって楽しそうに食事している。
今日の出来事に花を咲かせたり、自分たちの好きなものを語り合ったり、中にはおかずを取り合うったりもしてる。
でもそう、食事に大切なのはこの風景。
みんなで一緒に食べるからもっともっと美味しくなるんだ。
「ノコ」
ふと名前を呼ばれる。
双子の弟のニコだ。
「ゲーデの奴は何したって食べないって。諦めて、一緒に食べよ?」
自分の隣を開けてポンポンとたたく。
「もう!そうゆう事は言わない!ね、ニコもゲーデと一緒にピクニックしない??」
ノコの一言に、みんなは一瞬動きを止める。
「ゲーデとピクニック??」
ニコの半分呆れた言い方など気にせず、ノコは大きな笑顔。
「うん、そうだよ!ゲーデは食べ物の味を知らないからいらないって言うけど、でも一度食べたら大好きになると思うの。」
ノコは手を広げ生き生きと続ける。
「だからピクニックするの!沢山いた方が美味しいでしょ?みんなで一緒に食べる幸せをゲーデに知ってほしいの!!」
しばしの沈黙の後、カノンノが静かに立ち上がった。
「うん、賛成!わたしもゲーデと一緒に食べたいな」
◆
何やら中が騒がしい。
そう思い振り替えるとギョッとした。
バンエルティア号の船員がぞろぞろと両手に荷物で甲板へ押し寄せて来たのだ。
「あら、風が気持ち良いじゃないのー」
ルーティが酒瓶を片手に現れる。
「そうだな、たまにはこういうのも悪くない。おい、ロイド!シートを広げるの手伝ってくれ」
ガイがブルーシートを広げだす。
「おうっ」
「あっわたしも手伝うよ」
「おい待て、あんたは準備出来るまで座ってて。プレセア」
コレット出動に一堂息を呑んだが、ニコがすかさず止めに入りプレセアに受け渡した。
ゲーデはコソコソと逃げようとするが、マフラー(?)を掴まれ逃げられない。
「なっ!?離せディセンダー!!!」
「やだね。お前の言うことなんか聞くもんか!」
ニコはぐいっと引っ張りゲーデを近付け近付け、小声でつぶやく。
「ノコがお前の為にみんなに声かけたんだよ。逃げんな。付き合え。ノコが泣いたらお前のせいだからな。それを胸に刻め。」
「な、なんでオレが・・・」
視界の隅に、ノコが現れ言葉を切る。
嬉しそうな顔で、何かを大切そうに抱え、真っ直ぐゲーデのもとへ走ってくる。
「ゲーデ、お待たせ!!!お腹すいたでしょ?」
「だから、オレは腹なんてすかないって何度言ったらわかんだよ!!!」
ノコは少し寂しそうに笑うと、大切そうに抱えていた包みを大切そうに開いた。
「うん、知ってる。でもね、どうしてもゲーデと一緒にご飯が食べたいの。みんなで一緒にご飯を食べるとね、胸が温かくなるんだよ。優しい気持ちになれるんだよ。それでお腹いっぱいになると、何でも頑張れる気持ちになるの」
包みの中からは何度も不恰好なおにぎりが出てきた。
どれもばらばらで情けない形をしている。
「わたしがね作ったの。本当は料理苦手なんだけど、おにぎりなら大丈夫かなって思ったの。」
ゲーデはおにぎりを目の前に出され、困惑した。
ノコは少し顔を赤くしながらぼそっとつぶやく。
「ゲーデが初めて食べるものはね、どうしてもわたしがつくったものがよかったの。我儘言ってごめんね」
何故かつられてゲーデも赤くなった。
「しつこい奴だな」
ゲーデはとうとうおにぎりに手を付けた。
ノコの心臓は少し早くなる。
ゆっくりと口に持っていって、ぱくりとひとくちかじる。
噛んで、飲み込んだ。
「ど、どうかな?ゲーデ・・・」
まるで告白したときのように心臓が大きく揺れる。
ゲーデはきょとんとして、その後一言ポロっと言った。
「・・・上手い・・・よ。」
そのとたん、ノコは大ジャンプ!後ろからは何故か歓声が聞こえた。船員たちが様子を伺っていたのだろう。
その後ゲーデはおにぎりをペロッと綺麗に食べた。
不思議だった。
ノコのおにぎりを飲み込むと、まるで火が灯ったかのように胸が熱くなるのだ。
それは二口目も3口目も同じで。
ノコは、大層嬉しそうに笑った。
「ゲーデが食べたー!ゲーデが食べたー!!!」
「騒ぐな。噛んで飲み込んだだけだ」
「それを食べるっていうんだよ」
気付けばピクニックは、何故か呑めや踊れやの大宴会となっていた。
バンエルティア号の甲板には笑い声が響く。
「・・・オイ」
ゲーデの頬が少しだけ赤く染まった。
「ん?」
「・・・また、作れよあのいびつな飯の塊。」
ノコは笑ってそのあと大きく頷いた。
「うん!また一緒に食べようね」
たくさん想いを詰め込んで
(元気がでるようにアップルグミを具にしたんだよ)(・・・・どうりで甘いと思った)
*
とゆうディセ♀がゲーデの餌付けに成功した話。
何故かゲーデもアドリビドムにいらっしゃいます。
ゲーデはその後ディセ♀のアップルグミおにぎりじゃないとヤダ!って我が儘いうといいよ!
ルーティが未成年なのに酒瓶片手に持っとる\(^O^)/