作品たち

□言葉きこえなくても
1ページ/3ページ



〜此処は天界〜


ト「暇だのう……何か楽しいことは無いだろうか?」

 ザッ…

ト「! 何奴!!」

 サッ!
  ギラリッ!


ク「…………」

ト「……ク、クォーク殿……!?」







ト「……そうか、君も結果的に死んだのか」

ク「……」

ト「死人に口無しとは言うが、死人同士なら話せるものだなぁ、ハッハッハ!!」

ク「……」

ト「ハ……はぁ」

ク「……」

ト「……クォーク殿、少しぐらい口を開いたらどうだ? 儂一人で笑ったりして寂しいではないか」

ク「……」

ト「どうしても口を開けないというのなら無理矢理にでもこじ開けるぞ」

 ギラリッ

ク「!?」

ト「ぁ、顔色変えおったな」

ク「……」

ト「睨んでも無駄だ、そのようなもの恐ろしくなどない」

ク「……ハァ」

ト「漸く口を開いたかと思えばため息か、辛気くさい男よのう」

ク「……トリスタ将軍」

ト「何じゃ?」

ク「自分は貴方を殺めたんですよ? 何故そんな人間を前にして平然としていられるんです」

ト「君、案外神経質な質?」

ク「真面目に訊いているんです、話を逸らさないで頂けますか」

ト「ふむ……確かにお主は儂に手をかけた。だが、それは何か理由あっての事だろう?」

ク「……」

ト「儂がお主に殺したいと思われたのも事実。戦の場ではそんな感情ばかりが渦巻いておる」

ク「……」

ト「殺し殺され生かし生かされは世の常なのだ。儂一人お主一人死んだところでどうにもならん」

ク「……」

ト「しかし、お主より先に死んだお陰でこの間暇で仕方がなかったぞ。もしあのままお主が生きていたら儂呪い殺してたかもわからんなぁ」

ク「!?……貴方という人はっ」

ト「冗談だ、冗談。いいだろう? たまにはこんな黒い冗談を言ったって」

ク「……」

ト「腑に落ちないって顔しておるな」

ク「ふん……」

ト「さて、こうしてお主も来たことだしの。下の様子でも観てみるか」

ク「下……?」

ト「何じゃ、知らんのか。あそこに光っている所があるだろう? そこから下界の様子を観る事が出来るのだ」

ク「下界とは、まさか……」

ト「そうじゃ。生きているものたちの世界じゃ」

ク「……そんなことが出来るのですか」

ト「出来るから言っておる。何なら降りる事も可能だぞ」

ク「それは、近くに行けるという事ですか?」

ト「そうだ。その状態でうっかり写真などに写ったら見事な心霊写真の出来上がりじゃ」

ク「……写ったことがおありで?」

ト「あぁ! この前なぞ男の肩越しにピースをしてやったわい」

ク「何をしてらっしゃるんですか貴方は」

ト「だって暇だったんだもん」

ク「……」



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ