途切れた微笑み
□途切れた微笑み 第七話
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「ディーン・エバーズが死んだ…!?」
相手を気にする自分が嫌だと思いつつも、それでもカレルは気になっていた。
カレルはディーンがどの戦場に配置されたのかを調べさせていたのだが、届いた書類に愕然とすることになる。
自室の椅子に腰をかけ、カレルは腕を組んだ。
ディーンは最前線に配置されていた。
そして、戦死。
戦の大勢はドーラロズに軍配が上がっていたが、両群共に多大な犠牲が出ていた。
その中の一人に、ディーンの名前が上がっていた。
これは伝えた方がいいのだろうか。
掠めるリタの顔。
ディーンが戦死したと知ったら、リタは悲しむ。
伝えない方がいいに決まっている。
けれど…。
カレルは思いなおす。
いつかリタは知ることだ。
それでも自分の口からは伝えにくい。
リタの泣き顔を、恐らく直視することになるだろうから。
見たくない。
リタの悲しむ顔は。
いつでも笑っていて欲しい。
カレルはもう一度書類に目を落とす。
こんな紙切れ一枚に揺るがされている自分に苦笑する。
それでも…。
カレルはそっと目を閉じた。
まだ見ぬリタの泣き顔が、頭を掠めた。