途切れた微笑み
□途切れた微笑み 第五話
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「久しぶりだな。リタ。元気だったか?」
実家に戻って、リタを出迎えたのは、リタの兄、クリストファーだった。
腕には先日産まれたクリスの息子、リタの甥にあたるガイが抱かれている。
「兄さん、仕事は?ガイと遊んでいていいの?」
心配してリタが言った。
「今、休憩中。ほら、ガイ。叔母さんだよ。父さんの妹。」
クリスは腕の中の我が子に、優しく声をかける。
クリスの息子、ガイはきょとんとリタを見上げた。
ガイの視線に、リタは目を細める。
目は、兄さん似かな?
ガイを見て、リタはくすりと笑った。
可愛いなぁ。
「ところで、兄さん、馬車を借りたいんだけど。」
ガイを見て和んでいる場合ではないと思ったリタは、兄を見上げて言った。
「ん?いいけど、どこかに用事でもあるのか?」
不思議そうに聞いたクリスに、リタは少しだけ肩を竦めると、
「うん、エバーズ邸に…。」
「?」
リタのどこか影のある表情に、クリスは首を傾げながらも馬車を手配した。