堕落を望んだ神の子供

□第二章ー大切なものの為にー
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白銀(ぎん)の髪の少年を少女は信頼していた。
少年が半妖だと知っていながら、信頼してくれた。

少年は嬉しかった。

少年は少女に助けられてる。なのに少女は俺の事を強いと言う。
「でも、俺はそんなに強くねえよ…」
少年がそう呟く。
少年は彼女を護り切れるように強くなりたかった。
でも自分が半妖だから、少女を傷付けてしまう。
少年はその事が恐かった。
少女を傷付けた自分が恐かった。
自分の大切な人なのに、自分が傷付ける。
それでも少女は笑い掛けた。今のままの少年が好きと言って、手を差し伸べてくれた。
だが少年は、その手を振り払ってしまった。
少年は少女の手を振り払った自分の手を見て、そう呟く。
「でも俺は、そんなに強くねえよ…」
少年は自分の白銀の髪が嫌いだ。
少女は人間なのに、自分は半妖の化物だという事が、分かってしまう。
少女とは相容れないと身に染みて分かってしまうから。
少年は、人間の血がついていた自分の手を見て、握り締める。
なんて自分は弱いんだろう。ため息をつこうとした。

「ため息つくと、幸せが逃げてくよ?」
「うるせーっ!」
白銀の髪の少年――といっても一応150歳前後なのだが――、犬夜叉は、彼とは対照的に黒髪でショートカットの青年に向かって叫ぶ。
すると青年はころころと笑った。

「ははは、犬夜叉は怒りっぽいなあ。」
「はははじゃねえよ!呼吸の時間調子狂うだろおが。」
この男…顎門は俺と同じ半妖だ。
饕餮とかいうのが妖怪の方らしい。
俺より4、5尺(12〜15p)程高いか。
こいつは俺の仲間を「害虫」だのとほざいた、「世界はボク中心に回ってるんだよ」系の超迷惑野郎だ。
こんな奴が俺より背が高くて…なんか見下されてる感じがして腹が立つ!
あと微妙に一束だけ長い後ろ髪が目障り。
というか存在自体が癇に障る。
「虫ケラだとか言いやがって…。大体、俺がてめえについてきたのはかごめ達を…」
そこまで言うと犬夜叉は口籠もる。
何で俺がこんな目に遭うんだろう…
こいつより強ければ、こんな不快な目には…
本当はかごめの手を取りたかった。だけど、彼女を護り切れる自信はない。
「青春だね〜。でも相手が人間なんかだから、苦虫を噛むくらい苦い青春に…」
「うっさいわ!」
顎門は若いくせに(?)くだらないおやじギャグを言う。犬夜叉に気を使っているつもりらしいが、顎門本心で言っているので泥沼化するばかりだった…
「お前、何で半妖集めてんだよ。半妖が何の役になる?まさか、世界征服とか自己中心な事の為じゃねえよな。」
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