堕落を望んだ神の子供

□第六章ー孤独の異端者達ー
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いつも、私達は独り。ただ鬼が見えるだけなのに。

人間は私達を嫌う。

妖怪は私達を嫌う。

同異双方の種族から忌み嫌われる。私達異能者は。

―――――だから半妖は許さない。
禁忌の子は相容れぬ筈の人妖の遺物だから。

それに、あの人だって…




「茜!!」
犬夜叉は立ち上がると数歩前に出た。輪の風力で髪が靡く。砂塵の中から白い光として反射する。
「…ふん、半妖が異種と行動を共にするな。おのが分際を弁えろ、化物。」
茜は文字通り見下しながら、言い放った。
「喧しい悪趣味女!そういうてめえは人の事言える義理か!?今直ぐ骨粉にしてやるから覚悟しやがれ!!」
犬夜叉は一気に鉄砕牙を引き抜いた。
その言葉を聞いて茜は不敵に笑うと、僅かに目線をずらす。
「芹。」
「んあ?」
気の抜けた返事に微かに眉をひそませたが、茜は続ける。
「人妖は任せる。」
「あい。」
そう答えると、芹は一気に仮面を下ろした。

「交わるは陰陽和合。人妖、我は拒絶する。逸れ滅ばざるは…」
彼は印を組ながら唱える。

「不壊(ふえ)の血。」

刹那、
木々が歪んだ。
いや、空間が歪みを立てた。
だが、犬夜叉は構わず駆け出す。彼は歪みに入ってしまった。
「犬夜叉!!」
弥勒が中に入ろうとした。
だが、途端、烈しい火花が閃光する。
荒く耳障りな、甲高い音が劈けた。
結界だ。
結界に触れた袈裟が軽く焦げている。
「無駄だよ、この結界は化来の人(半妖)しか通さない。」
芹は言った。
だがかごめは芹の言葉を無視し、芹の真横を横断する。「あ゙。」
かごめは犬夜叉を追って結界に向かっていく。
「待って犬夜叉!」
芹が慌てて叫んだ。
「駄目だ!!通ったら…!」

結界にかごめが入った。

「へ?」
それも造作もなく。
「どういう事じゃ?弥勒は通れんかったのに。」
「恐らく…骨喰いの井戸と同じ現象でしょう。」
不気味な仮面とは対照的に、のんびりした口調で芹は、
「え〜そんなのありかよ〜」
驚いてるらしい。
顎門は無味乾燥な表情で様子を見ていたが、軽く地面を蹴り上げた。
梢が、騒めく。
途端顎門の姿が閃いた。
云々言う間もなく、顎門は結界を擦り抜けていた。
「…あの女…どうしても半妖を相手にしたいみたいだね。いいだろう。」
芹のこの結界は茜を半妖と戦わせる為の、濾過器。
「半妖、光栄に思え。野垂れ死にしないのだからな。」
半妖を見下す茜。
茜の言葉に、苛立ちを顕にする犬夜叉。
だが、太刀を振るう気配はない。
「犬夜叉、あの人が…」
「ああ、悪趣味だろ。」
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