怪獣

□マリンスノウ
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「トト、Jr.!」
「おはようレオ。」
黒い方の少年は微笑むと、レオとさも親しげに会話をする。
傍から見れば仲のいいカップルにも見える。一方でダガーラは気が気ではなかった。彼女達しか眼中にないし、雑音も暑さも分からない。
そんな彼を取り残して会話が続く。
「機龍さんは来れなかったの?」
「ああ、任務が忙しいとか言ってたな。」
「そういえば機龍さんって、33には見えないよね〜」
「18くらいにしか見えないぞ。バケモノかあいつは?」
正直、ダガーラは付いてこれなかった。
「お兄ちゃんこんにちはっ。」
「!」
少年の声に、やっとダガーラは正気に帰る。
白身掛かった緑のリュックサックを背負っていて、口を開けて破顔した。
「こ…こんにちは。」
トトという名前の少年の声に気付いたのか、レオがあっと声を漏らす。
「ごめん、紹介がまだだったね。」
彼女は合掌して悪そうに会釈した。
「この子はトトで、こっちはゴジラ。でもまぁ色々あって今でもゴジラJr.って呼ばれてるの。」
ゴジラ…彼ならダガーラも知っている。そのイメージは「凶暴」。レオから父母・バトラとモスラの話を聞いた事があるからだ。
それにしては、この場にいるゴジラは「人懐っこい」印象がある。
それもそうだろう。先代は炉心熔融(メルトダウン)でこの世にはいないのだ。人間に育てられたベビーことJr.は、もはや完全にゴジラ化したものの、紛らわしいので名を変えなかった。
「それで、私の隣にいるのがダガーラ。」
「よ、宜しく。」

全員集まったところで、数分早いが作業を開始する事にした。
「えーっと、危険物があったら、不用意に触らないで下さい。」
レオが1枚のプリントを朗読。今回のリーダーなので、丁度先生と生徒ないし児童のように、レオは並んでいる彼らの前に立っている。
しかし、Jr.はあまり注意を聞いてないし、ダガーラは内容よりレオの声しか聞いていない。よりによって最年少のトトが真剣に耳をそばだてていた。
「レオ、別に危険物といっても爆発物だろ?そんなの痛くも痒くもねえって。」
Jr.のアブノーマルな発言は些か養父に似ていない事もない。風格というのだろうか。
「…あんたが変なのよ…」
これ以上発言されても迷惑なので、取り敢えず軽く一蹴する。
「ゴミの分別を…」
呆れた様子でレオが再び言い出そうとした。その時、
「うわーっ!!」
トトの叫び声に、それが止まる。
「皆大変!変なのが打ち上げられてるよ!」
それを聞いて「変なの」の近くにいるトトに寄る、Jr.とダガーラ。
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