Present

□危険な関係
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「…何ですか、これ」
「何って、花?」間髪入れず返した返事に、竜崎はきょとんと目を見開いた。殺風景な捜査本部の部屋の中で、2本の花が綺麗な色を弾けさせている。我ながら良い選択だと思ったのだが、竜崎はじっと僕の手に握られた花を見つめながらぽつりと呟いた。「…どうせなら、甘い物でも買って来てくれても」言うと思った。でも、せっかく買ってきたから。「…ごめん。でも、こういうのもたまには良いだろ。ほら、プレゼント」軽く、竜崎の大きな目の前に突き出した。するとふわ、と、花が揺れて、竜崎の唇に軽く当たる。「!…月くん」「…ははは、キスしたね」「…嫌がらせですか?」「さあ?」じろ、と睨んで来ながら病人みたいに白い指で、2本の花を摘むみたいに僕の手から受け取って目の前で揺らしている。飽きる迄ほっといてやろう、と寝室に向かって歩き出した時。ぼそり、と背中から声がした。…正直嬉しい、と言いたかったけれど、意地っ張りの竜崎に言うと機嫌を損ねてしまうから。心の中でだけ呟いて、僕は本部のモニタールームを出た。

「どう、致しまして」

買った花は、チューベローズ。花言葉は、危険な関係。僕らに、ぴったりだろ?竜崎。




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