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□01:二人の部長
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――――珍しい
千牙はまずそう思った。
普段は悪戯目的の手紙すらない空っぽの意見箱に、投書があったからである。
それも、二枚も。
この学校は、私立なだけに非常によい設備が整っている。
運動部もしかり、文化部にもなかなか充実した部室用の部屋を割り与えられている。
つまり、意見などそうそうないのだ。
(まあ、部費なんかの催促だったりするんだろう)
そんなことを思いながら、一枚目の投書を開いた。
『――――…繰り返します、2年6組篠上くん、2年7組八田橋くん、進路指導室まで来てください…』
「呼ばれてんじゃん、佳澄」
「何やったんだよ、進路指導室て」
佳澄と呼ばれた少年は、少し困ったように頭をかいた。
「んー…まぁとにかく行ってくる」
「生きて帰ってこいよ」
友人の、茶化しながらも案じるような言葉に笑って手を振り、佳澄は教室を出た。
表情がこわばり、緊張が身を包む。
予想していたし、覚悟の上だったけれど。