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□02:奔走の果てに
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「さて、どうしたもんでしょう」
「…まさか、万策尽きたか?」

まだ一週間も経っていない。

「それは違いますよ先生。ただ、もうすべきことが思い付かないだけです」
「それを『万策尽きた』と言わずになんという…」

「あ―――…暗中模索」

「…お前、本当にこの学校に推薦で来た天才児か?」

千牙の溜め息は限りなく深く、ただただ重かった。






あの日から、正確には5日経過した。
千牙が二人に告げた、条件は二つ。

総部員数が40人を越えること
そして

仮入部期間である今月――――4月末日までに、その規定人数を集めることだ。
大志は、あの日以来すっかり当面の活動拠点、
…といえば格好がつくが、実際より的確な表現をするならば、いわゆる溜り場となっている進路指導室にかけてあるカレンダーを見やった。
仔猫が可愛らしくじゃれている写真の下に、味気無い書体で数字が均一に書き列ねられている。
1から始まり、だんだん×印が増えていって、今は14の手前で止まっていた。

「あと半月だぞ…」
「なかなかに時間が経つのは早いものですね」

(何故こいつはこんなにマイペースなんだ)

つい5日前は頼もしく感じた筈の生徒に、現在言いようもない不安を憶えている千牙だった。




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