異性恐怖症
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それからは、ベル先輩と2人のときは素で会話するようになった。
自室でゴロゴロしているとドアがノックされる。
「オレだけどー」
『あ、ちょっと待ってください』
鍵を開け、ベル先輩を中に入れると、
手渡されたのは紫色の綺麗な浴衣の帯だった。
「お前が女だってわかった日、ほんとはこれ渡しに来てたんだよね。
あんとき渡しそびれちゃったから。
男物でわりぃ」
『ぁ…
いいんですか?
こんな…』
「オレ浴衣着ねーもん」
『ありがとうございますっ』
雲の炎の色。
とても綺麗な色で、素敵だと思った。
「この前の日本での任務で見つけてさ、一目惚れした。」
『ほんとにきれいな色だと思います!!
着けてきますね、』
そう言って部屋を移動し、着替える。
もうやることもないし、寝るだけだからな、とサラシも外す。
紫色の帯が似合いそうな浴衣を選び、自分で着付けた。
普段では絶対着れない桜色の生地に藤の花が描かれた女物の浴衣。
「お、似合ってんじゃん」
『そ、そうですか?』
初めて見せる"女"の格好に緊張してどもってしまう。
「ん、すっげー可愛い」
可愛いなんて言われたの初めてで、すっごい嬉しかった。
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