その雇用主は?(完)
□第4章・・・泊り
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どうやら二人は親睦どころか、心の絆まで深めてしまったようだ。
それから、浩二の案内されるままゲストルームに行き、神はここで一晩を過ごすことになった。
まだ仕事の続きをする為、浩二は自室に戻ることにした。
「じゃあ、ゆっくり休めよ。ああ、それと、すまんが明日の朝起こしてくれるか?俺も一緒に買い出しに行く」
「それは構わないけど、浩二今からまた仕事じゃキツいだろ?朝はゆっくり寝てなよ。買い出しはオレ行ってくるから」
一緒に行くと言った浩二の身体を気遣って、神はそれを断るが。
「いいだろ?俺が一緒に行きたいんだよ。だから朝絶対起こせよ?先に行ったりすんなよ?」
ちょっと拗ねたように口を尖らせて言う浩二に、神は苦笑しながら頷いた。
「分かったよ。じゃあ浩二も無理しないで早めに寝なよ?オレももう寝るから」
そういうと、浩二が突然悪戯っぽくニヤリと笑った。
そして、神に近寄りながら。
「えっ?ナニナニ?添い寝してほしいって?しょーがねーなぁ。グッスリ眠れるように俺が濃厚おやすみキッスを…。んんぅ〜っ」
言いながら神の頬を両手でガシッと掴み、顔の前に唇を突き出して、浩二はキスを迫る素振りを見せた。
ガッチリと固定された顔をグググッと力一杯背けて神は思いっきり首を捻る。
「わーっ!ヤメロ放せ!変態オヤジッ!」
浩二の顎に両手をあてて、押し退けながら神は叫ぶ。
「アタッ!またぁ〜、そんなに照れることないだろぉ〜っ?全く神は恥ずかしがり屋さんだなぁ〜。ほら、んん〜っ」
押されて、顔を歪ませながらも、楽しそうに浩二は神に迫る。
「ギャーッ、ヤメロばかっ!誰も恥ずかしがってないっ!あ〜もぉいいから早く仕事しろよ仕事をーッ!」
抵抗するが、力が強すぎて背けた首の力に限界がくる。
(うそだろーっ?どっからこんな力出してんだよオッサン!ヒイィーッ!口はイヤだあーっ!)
とうとう力尽きて、正面を向かせられてしまう。