その雇用主は?(完)


□第1章・・・面接
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日差しがサンサンと降り注ぐ、この晴れ晴れとした天気の日に、安藤 浩二(23)は、黙々と自室の机にかじりついていた。


しかし、そのうち………



パタリと力なく机の上に上半身が倒れ、その手からコロコロと2Bの鉛筆が転がり落ちる。



しばらく、その格好のまま停止。


……と、何やら呻き声が聞こえる。


「ううぅぅっ……、う……うがあぁぁっ!ダメだっ、進まんっ!!」



ボサボサの頭を両手で抱えて、更にガシガシと掻き乱す。



この男、一見の見た目は誰もが頷く怪しいオッサンである。



その見た目からは想像もつかないが、意外とガッチリとした体躯の、185cmの長身だ。



だが、髪はボサボサの伸ばしっ放し、上下スウェットの部屋着に身を包み、顎にある無精ひげも全くもって汚らしい、限りなく胡散臭さ満載のまさにオッサンと呼ぶに相応しい男だ。



しかし、彼はまだ23。世間で言う若者だ。


だが、彼の不健康な生活と身なりが、彼を完全なオッサン化させていた。



「イカンッ、このままでわイカンッ!何か対策を考えねば!!」



ギシッと椅子の背もたれに体重を預けて、浩二は腕組みをして、う〜ん、とひとしきり考えると、意を決したように膝をポン!と一叩きする。



「よしっ!やっぱりバイトを雇おう。金は惜しいが、やむを得んな」



ブツブツと独り言を言って、机の直ぐ横に置いてあるパソコンをたち上げ、求人のチラシを作成する。


≪短期パート、アルバイト募集!年齢:高校生以上。自給1000円。簡単な家事が出来る方――…。詳しくは家主:安藤まで――。tel090………≫



そんなキャッチを打ち込み、数枚プリントアウトし、文具のりを掴むと、浩二はそのままウソウソと外へ出る。



まずは家の外壁にペタリ。



残りは近所の電柱に貼り付けた。



許可を得てないところが気になり所だが、この際それは置いておこう。


「よし。こんなもんか。出来たら美人の人妻かピチピチの可愛い女子高生が来るといいなぁ」



フンフンと鼻歌を歌いながら、軽い足取りで帰っていく姿は、それはもう怪しいと言うに相応しい、まさに変質者のようである。



その結果、浩二の歩く道からは自然と人通りが少なくなっていく。



―――陽が傾きだすと、下校する学生たちで溢れ出す。



その中に、グレーのブレザーに身を包んだ二人組みが、浩二の家周辺をキョロキョロと見回しながら歩いている。



手にはあの求人の紙が握られている。



「なぁ神、本当にするのか?こんなバイト」



一人が不満そうにごちると、神と呼ばれた学生がうざったいと言うような顔をする。



「もーっ!ウルサイよ佐倉は!バイトすんのはオレなんだから。文句言うならついて来なきゃいいだろっ?」



「ヒトが心配してやってんのに、そおいう事言う?」



不満げな視線を送られて、神は仕方なく謝罪をする
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