オリジナル4

□変わらない人
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少しやる気のない背中。

でも少なくともこの部活の中では1番やる気を感じる背中。





「松本、ボーっとしてるならボール出して」



『!はっはいっ堂本先輩っ!!』





その人が、私の・・・初恋。
でも



「ねぇっ、やっぱり男バレの光希君っかっこいいよね」


「わかる〜!常に冷静っていうか!」


「そうそう!あぁ〜きっと彼女になる子は誰もが認める可愛い人なんだろうね〜!
ほら!有名人の〜」



バスを待ってる時に聞こえた3年生の先輩の会話





カッコイイのもわかってる。
誰でも気に掛ける性格なのもわかってる。


・・・私なんかに手が届かないことなんて、わかってる。


言おうと思っていた告白の言葉や手紙は
先輩たちが卒業したときもずっと渡せないでいた。


ーーー


それから何年か過ぎて、家に1通の手紙が届いた。

“夜明高校 男子バレー部 同窓会”



『!・・・』



堂本先輩は来るかな。
・・・会えない、かな


そんなことを思って私は手を震えさせながら“参加”に○をつける


そして当日





「おぉ〜!お前ら変わらないなァ!」


「まじさ!てかお前結婚したのかよ!!」




ついに始まった。

でも、私は緊張しすぎてなかなか輪に入れないでいた
それに、堂本先輩もまだ来ていない。

私は入口の近くで周りを見渡していると



「こんな所で何やってるの」



『あっすみま・・・!!』



後ろから声がして振り返ると
そこには大人びた堂本先輩が立っていた。




「おぉ!来たか!!
・・・ん?その子誰だよ!彼女か?(笑)」



『!』



まさか私・・・覚えられてない?
・・・そんなに影薄かった・・・?


泣きそうになりパッと下を見る

堂本先輩だって私のこと、覚えてないかもしれない・・・



「何言ってんのお前。
マネージャーの松本だよ」



その言葉にパッと堂本先輩を見ると
まっすぐもう一人のセンパイを見つめていた




「・・・松本・・・?
・・・ああぁ!後輩のマネか!ごめんな!!
ほら、みんなお前待ちだぞ、この色男!!」



「!引っ張るな。
ていうか俺この後職場戻るし。
少し見に来ただけ。
そうやってお前にも狭川にも伝えただろ」



「!そうだったそうだった!!じゃあ、俺伝えてくるな!」



そう言い走って行ってしまった先輩を見ていた




「久しぶり、松本。変わらないな」



『!あっえっ・・・せ、先輩、もっ』



優しく微笑みかけてくる先輩に一気に顔に熱が集中するのがわかった



「正直君は来ないと思ってた。」



『えっ?』



「どのマネージャーより動いてたけど、周りから浮いてたからさ。
部活はいい思い出ないんだと思ってた」



『!』





そうやって微笑む先輩は変わらなくて




「おーい!!!堂本!来いよ!」



「!あぁ、今行く。元気そうで良かった。じゃあ」



あの優しい背中を見て、もうあの時みたいに後悔したくない・・・!!

私は咄嗟に堂本先輩のスーツをギュッと掴む




『っ・・・あ、あのっ!こ、これ、わ、私のアドレス、電話番号、書いて、ます・・・!良かったら・・・っ』



「!ニコッ・・・これ俺の。
あとでまた連絡するけど一応渡しておく」




ポケットから出された名刺を渡され、今度こそ先輩たちの輪へ行ってしまった堂本先輩。



『っ〜〜〜〜!!///』



その背中も、その優しさも全部。
何もかも変わらない人





(・・・(こ、来ない・・・っ
!!き、来た!!
“登録よろしく、堂本”・・・

っ〜〜〜!!////))


っていう出会いをした瑠璃ちゃんと堂本くんです☆

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