桜物語
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「「おせーよ!!」」
広間につくと、おあずけをくらっていた藤堂さんと永倉さんが不機嫌そうな声をあげた。
「晋哉…!」
広間に入ってさっさと座ってしまった沖田さんの隣に千鶴は座っていた。
「千鶴、何事もなかったか?」
「うん…!」
「そうか、安心したよ」
駆けよってきた千鶴と少し言葉を交わした後、沖田さんに断りを入れて部屋に戻ろうといたが、
「早く座れって!飯食えねぇじゃん」
と言った藤堂さんは、駆けよってきて俺の袖を引っ張ると自分の隣に座らせた。
と、同時に皆が箸を持って食べ始めた。
「今日も相変わらずせこい夕飯だよなぁ…」
永倉さんはいつもと全然違う表情で溜め息をついた。
「というわけで…隣の晩御飯、突撃だ!弱肉強食の時代、俺様がいただくぜ!」
と言って永倉さんは藤堂さんの魚に箸を伸ばした。
「ちょっ、新八っつぁん!なんでオレのおかずばっか狙うかなぁ」
「ふはははは!それは身体の大きさだぁ!大きいやつはそれなりに食う量が必要なんだよ!」
「じゃあ、育ち盛りのオレはもっと食わないとねっ!」
藤堂さんも負けじと永倉さんのご飯に箸をつっこむ。
千鶴は左之さんに何やら話しかけられているようだ。
「(大人数で食事か…久しいな)」
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