桜物語

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「(広間で食事をするなら、厨とはそう離れていないと思うのだが…)………あった」




厨に入ると誰もいなかった。

とりあえず机の上に御膳を置くと、辺りを見渡して雑巾と何か食べる物を探した。




「…(雑巾どこだ…?)……」




---グニャッ---




「!?」




突然、視界が歪み始めた。
先ほど倒れたときに頭を打ったからか…




「っ!?」




足に力がはいらず、床と衝突するのを覚悟していたが…




「大丈夫か?」



「…え、斎藤さん?」



「先程、平助が倒れこんだときに頭を打っていたみたいだから気になってな」




いつまで経ってもこない衝撃におそるおそる眼を開けると、俺は斎藤さんの腕の中に収まっていた。




「す、いませんっ」



「動くな。頭部を打った場合は動かないほうがいい」



「………」




動くなと言われても動けないんですが…

斎藤さんは立とうと思った俺をしっかり抱えているので身動き一つとれない…。




「……あの、もう大丈夫で---」



「何してるの?」



「総司か…」




気配を消して近づいてきたのは沖田さんだった。










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