桜物語2
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「……(何か土方さんに怒られるような事しただろうか…?)」
厳しい表情の土方さんに疑問を感じていた。
「半年の間、一睡もしてないようだな」
「……」
「……昼も寝ず、夜も寝ず…テメェはいつ寝るんだ?」
「……寝なくても死にませんよ」
「いつからだ?」
「……」
「答えろ」
「……ここに来たときからです」
「半年か…」
土方さんは呆れたように深く溜め息をついた。
「休め」
「は?だから無理で----ッ痛」
言い終わるか否かに、土方さんは座っていた俺を引っ張り上げると、敷きっぱなしであろう布団の上に投げ捨てた。
「副長命令だ。暫くそこで横になってろ」
「(職権乱用…)俺なんかより土方さんが休んだほうがいいと思いますが」
さすがに"人なのに無理しすぎでしょ"
とは言えないが。
「俺はいいんだよ」
「…なぜ…たかが新選組お預かりの俺にそこまで言ってくださるんですか?」
「……………さぁな」
「さぁなって…」
「ごたごた言ってねぇでさっさと寝ろ」
「…………」
納得いかない。
俺が寝ている間に殺そうとしているのか?
…まぁ、別に殺されて困ることはないが。
「…………」
「…………」
「…………わかりましたよ…」
鋭い視線に押し負けて、仕方がなしに布団の上で横になった。
「……」
土方さんは俺が横になったのを確認すると、机に向かってなにやら書き始めた。
仕事がたまっているのだろうか?
「……」
「……」
暫く土方さんの背中を見ていたが、それが嫌だったのか土方さんは深く溜め息をついて手を止めた。
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