桜物語2

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「どういうつもり?」




沖田さんの部屋に入ってすぐにいつもより低い声で訊ねられた。




「何がですか?」



「どうして隊士になったりしたの?」




やはりその話か…

沖田さんが俺を小姓にしたのは、俺が'女'と知っていたからだろう。




「先程も言いましたが…俺は、皆さんの役に立ちたいだけですよ。
変な意地は止めました。」



「……」



「ただ何かに縋りたいだけだったんですよ、俺は。」




此処に来る前は咲季さんを守ることに縋っていた。

此処に来たときは千鶴を守ることに縋った。

しかし、俺が守らなくても千鶴は皆から守られていた。


それでは俺の生きる意味は?


人間の命は短きもの。

今はこの命を新選組に使おうと思った。




「…戦うなとは言わないよ、僕は君を信用しているからね。」



「!…ありがとうございます」




最も警戒していた人の意外な言葉だった。

今更裏切る気はない。

裏切りたくない。




「君は死なせない」



「、?」




沖田さんは俺の腕を引っ張って抱き寄せた。




「君は僕が護ってあげる。
だから…僕の背中は君に任せたよ」



「、了解いたしました」




俺は弱い。

こうやって温もりを感じることに安心感を持っている。

今はそれでいいと思いたい。

否、思っていたい。










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