桜物語2

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支度を整えた隊士たちが揃いの羽織、揃いの鉢金という勇ましい姿で整列していた。

支度をしていて少し遅れてしまった俺は隊列の最後尾に立って千鶴を探していた。




「動ける隊士が足りてない。
近藤さんの隊は十名で動くそうだ」



「俺ら土方さんの隊は二十四人だったか?
…隊士の半分が腹痛って笑えないよな」




ふと視線の先には隊列から離れて話している幹部達の姿が目に入った。




「そういえば、`あいつら`は使わないのか?」



「しばらくは実践から遠ざけるらしい。
血に触れるたび、俺達の指示を聞かずに狂われてはたまらん」




千鶴も隊列から離れたところにいたが、幹部達がそれに気付かず羅刹の話をしている。

千鶴は聞いてはならない話だと気付いたのか、両手で耳を塞いでいた。




「それに、十じゃないよ十一。」



「はぁ?
何言ってんだよ総司、近藤さんの隊は十人しかいねぇじゃん」




俺が遅れてきたことに気付いていない幹部達に、沖田さんは俺に手招きをした。




「新崎か」



「微力ながら、俺も加わらせていただきます」




俺に気付いた斎藤さんは特になんの反応も示さなかったが、藤堂さんは一瞬驚いてすぐに励ますように声をかけてくれた。




「おい、総司ッ!」



「晋哉は僕が認めた一番組隊士だからね。
左之さんの心配は無用だよ」



「ッけどよ!」



「…」




左之さんは何を心配しているのであろうか?

俺に心配など無駄なことなのに…。

俺は女でも人間ではなくて'鬼'だから。










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