桜物語2
□45
1ページ/1ページ
「何故、ここに…?」
俺が知っている謙人は【人間】のはず…
「俺も一緒だったんだ。
…お前や、千景達と」
「嘘……!?」
「同じ?どこがさ」
【同じ】それは同族を意味する言葉だと思う…
沖田さんは刀を構えたまま視線を謙人から動かずに言った。
「晋哉…
君は新選組一番組組長補佐。
それに変わりはないよ。」
「……。……ハッ、当たり前ですよ」
ゆっくりと鞘から刃を抜いた。
「沖田さん、こいつは俺に任してもらってもいいですか?」
「……わかったよ」
沖田さんは窓辺に座っている"私"の兄に斬りかかっていった。
「なぁ蒼、お前はそこにいるべきじゃねぇよ。」
「……」
「帰ろうぜ?」
「…謙人、
ごめん」
「……。」
「確かに、家に縛られていた俺を助けてくれたのは謙人だった。
でも、今は謙人も俺を家に戻そうとしてる」
「っ、誤解だ!
俺はお前の為に---」
「それに、今の俺には護りたいものがある」
「……蒼、」
ごめん、謙人…
本当にごめん…
「俺は謙人を斬ってでも前に進むよ」
「…仕方ねぇな。
俺は力強くでもお前を連れて帰るよ」
俺は謙人に刃を向けた。
.