桜物語2

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「……」



「……はっ!」




キィインッ!




力強く地面を蹴り、謙人の懐めがけて刀を振った。




「……」




謙人は俺の刃をそのまま受け流し、そのまま横に弧を描くように振る。

謙人の流派は我流だ。




「くっ…!」



「……、」




迫る刃を受け、鍔迫り合いとなった。

同じ【鬼】同士なら、男女の差が痛手となる。




「沖田さん!晋哉さん!」



「……っ、千鶴…!?」



「…………わりぃ」




「!!」




ガッ!!




屯所にいるはずの千鶴に気をとられた隙に、謙人は刀に力を込めて俺を凪ぎ払った。




「…くっ」



「晋哉さんッ!!」



「来るなッ!!」



「……蒼、頼むから一緒に帰ろうぜ?
……俺はお前を斬りたくねぇんだ…」



「……」




右、左、謙人はもう刀を振る気がないのか終始避けてばかりだ。




「ゴホッ!!」



「!!」



「沖田さんっ血が!!」




沖田さんが咳き込むと、庇おうとした千鶴が沖田さんの近くに…風間千景の視界に入って行った。




「………終わったな」



「は、?」



「蒼、次は必ず連れて帰る」



「謙人…?」




そう言って謙人は静かに刀を納めた。




「会合が終わると共に俺の務めも終わっている」




咳き込んでいる沖田さんを見下していた視線は俺に移してきた。














「蒼」


















ガッ!!




「っ!!」




目の前に顔があったと思ったのは俺の首に手がかかり、壁に押し付けられてからだった。




「今日は退く…。
だが、貴様には必ず戻って来てもらう。逃げられると思うな。」



「っ、」




それだけ言うと2人は窓から身軽に外へ飛び出して行った。










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