桜物語2

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「……………。」




外は日が沈み始めて薄暗い。

夕餉を済ませ、俺がいま居るのは襖の前だ。

真相を確かめるべく、沖田さんの部屋に来ていた。

しかし、ほぼ毎日呼び出されて来ていた部屋はいざとなると戸惑いで開けられない。

踏み出せない自分に俯いて溜め息をついた。




「…………滑稽だな。」



「…そんなこと言ってないで入ったら?



「!!」




なんだ、起きていたのか…。

躊躇いつつも、ゆっくりと襖を開けた。
俺が来る前から目が覚めていたのか、起き上がって膝に刀を置いていた。




「起きていらしたのですか…」



「まぁね」



「…お身体の具合はいかがでしょうか?」



「もう大丈夫だよ。」




後ろ手で襖を閉めると沖田さんの傍に座った。




「…申し訳ありませんでした」



「……」



「俺が不甲斐ないばかりに、沖田さんにお怪我を----」



「君ってさぁ、本当に堅苦しいよね」



「……、」



「そこまで大した怪我じゃないよ。心配しないで」



「……すみませんでした」




沖田さんはいつものように笑みを浮かべる。
しかし、どこか無理をしているようにも見えた。




「君には沢山聞きたいことがあるけど…。
とりあえず、正式に隊士になったんだってね?おめでとう」



「あ……ありがとうございます」



「なに?不満だったの?」



「いえ、これで沖田さんの小姓も終わりかと思いまして…」



「あぁ、聞いてないの?
君には小姓の仕事は続けてもらうよ」



「え…?」



「君の配属は'一番組'だしね。
小姓兼隊士にしておいたから。」



「あ…はい。」




初めて知った事に驚きつつも了承した。
死んでしまったほうが楽だと思っていたはずなのに、何故か不思議な気持ちになった…。




「ところでさぁ…君は何しに来たの?」



「え…?」



「そんなに深刻そうな顔して入ってきたから誰でも分かるよ」



「……っ」




咲季さん、必ず帰るよ。
貴女がくれた勇気で一歩ずつ進むから。


小さく息を吐くと、改めて向き合った。




「あの…沖田さん。
  俺は昔、貴方と……」









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