桜物語

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「ぎゃぁぁああっっ!?」



「な、なに!?」



「……少し様子を見てきます。千鶴ちゃんはここで待っててください」



「えっ?」



「絶対に出てこないでくださいね」




念のために強く言っておくと、俺は消せるだけ気配を消して物影から通りを覗いた。




「クソ!やりやがったな!」



「ちくしょう!なんで刀が効かないんだ!?」




目に入ったのは浅葱色の羽織。ツンと鉄臭い独特の臭いが頭を強く刺激した。




「た、たすけ…」




命乞いをする浪士を彼らは何の躊躇いもなく切り捨てた。




「……(狂ってるな…)」




既に屍となったものに奴等は何度も刺し続けた。




「あの子を逃がさないと」



俺は奴等に気づかれないように千鶴ちゃんに近づいた。




「…千鶴ちゃん、立てますか?」




奴等に気付かれないようにひっそりと声をかけると、彼女はおぼつかない足で立ち上がろうとしたが、身を隠していた板を倒してしまった。




「っ!!」



「……チッ」




音に気付いた彼らは狂気に満ちた顔をこちらに向けて駆け寄ってきた。




「ヒャハハハハハ!」



「斬る…しかねぇよな」




千鶴ちゃんが腰を抜かして座り込んでいるうちに俺は目の前に迫る狂人達を斬り付けた。




「…死なねぇな…」




狂人達は少しよろめいた後俺に向かって勢いよく刀を振り下ろしてきた。




「…流石に心の臓を刺したら死ぬ、よな?」




俺は一人、二人、と的確に心の臓を刺した。が、二人目を斬った後に油断していたのか、三人目が俺ではなく、千鶴ちゃんに向かっていたことに気がつかなかった。




「っ!ちづ……!」




しかし、彼女に向かって振り下ろされた刃は当たることなく地面に落ちた。




「あーあ、残念だな…」




この場に合わないどこか楽しげな声に視線を向けた、そこには二人の人影、どちらも浅葱色の羽織を着ている。




「僕が始末しちゃうつもりだったのに。一君こんな時に限って仕事が速いよね」


「俺は務めを果たすべく動いたまでだ。…あんたと違って戦闘狂はない」



「うわ、酷いな〜それじゃ僕がまるで戦闘狂みたいだ」




突然やってきた二人が話しているうちに、俺は刀の柄を握りなおすと、千鶴ちゃんとの間を少しずつ詰めた。




「(この子を死なせるわけにはいかない……)」



「でもさ、この子たちを殺しちゃうまで黙って見てれば、僕たちの手間も省けたのかな?」



「さぁな。…少なくとも俺たちが下すべき判断ではない」




二人が視線を向けた先…千鶴ちゃんの後ろに私は刀を振り下ろそうとした。が、




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