桜物語
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「総司、お前もうすぐ巡察だろ?こいつは連れていくぜ?」
沖田さんは何か言いたそうな顔をしていたが、原田さんは気付かないふりをして歩きだした。
「ここがお前の部屋だ。隣は俺だから、何かあったら言ってこいよ?」
「ご迷惑おかけして申し訳ございません。ありがとうございます」
軽く頭をさげれば、原田さんは困ったように苦笑した。
「少しは肩の力抜けよ?俺達だって何もしなければお前を殺す気なんてねぇからよ」
「…」
「それに総司だってお前を気に入っているからなぁ、当分は手放してくれねぇだろうよ」
「お心遣いありがとうございます。…しかし、」
ヤメテ。
あまり優しくしないでください。
あまり関わろうとしないでください。
「…お気遣いなく。俺は千鶴を守るためだけに生きるつもりです。斬られる覚悟はできていますから」
「!!」
「それでは失礼します。」
言い捨てるように放った言葉は自分が思っていた以上に冷たかった。
「あんまり1人で抱え込むなよ…」
「……、」
怖い…
何故か原田さんには心を許してしまいそうな自分が怖い
原田さんは…あの人に似ていて…
「………すみません」
部屋に入ると静かに襖を閉めた。
「……(千鶴は大丈夫だろうか…?)」
沖田さんはおそらく巡察。こちらに原田さんがいるということは、向こうにはまともな人しかいないだろう……たぶん。
思想をめぐらせながら、壁に背を預けて座り込んだ。
「……あ、(そういえば、咲季さん心配してるかな…?変な奴等に絡まれていないといいけど…)」
頭に浮かぶのはただ一人。俺の大切な…大切な人。
「……咲季さん、」
<補足>
"あの人"って誰だ!?→詳しくは過去編でご紹介いたしますm(__)m
ちなみに、晋哉にとって大切な人は"咲季"で、"あの人"は大切な人ではありません。