桜物語
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「…すみませんでした。この間あったばかりだと言うのに、なんだか懐かしい感じがして…」
しばらくして泣き止んだ千鶴はと今は向き合って座っている。
取り乱したことに相当恥ずかしかったのか、千鶴は顔を真っ赤にしてうつむいていた。
「いや、大丈夫だ。…それに、」
「それに…?」
「…私と千鶴は幼い頃に一度会っているんだ。」
やはり千鶴は覚えていないようで、ありえない!と言う顔をしていた。
「やはり覚えてないか…。」
「す、すみません…!」
先程とはうってかわって、ころころと表情を変える千鶴。見ていて飽きない。
「ククッ」
「へ!?」
「いや、千鶴は可愛いなと思ってな」
「ええぇ!?」
「っはは!」
「〜っ///(晋哉さんって笑うんだっ)」
少しは励ませただろうか?
こうして千鶴が笑っていたら、俺はそれでいい。
千鶴が血の運命に左右されないで生きていけたら…それでいい。
「…なぁ総司、あいつって俺達の前では笑わねぇよな…」
「一応新選組に保護されている身だからね」
「けどよぉ、千鶴は笑ってくれるぜ?」
「……」
「あいつも笑ってくんねぇかな…」
「………」
俺と千鶴が話しているときに、外でこんな会話をしているとは私達は気付くはずもなかった。
「じゃあ、千鶴も元気になったことだし、そろそろ戻るよ」
「えっあ、はい…!」
じゃあな、と言って抵抗しない千鶴の頭を撫でてやると、千鶴は頬を染めた。
その反応が可愛いくてついつい千鶴の耳元で…
「今度は幹部のやつらに内緒で来るからな」
「っ!はい///」
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