etc dream
□指先
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あたり一面、赤から褐色に染まり、生臭い。
たくさん転がった死体。
どれくらい殺したかわからない。
そして皮肉にも私に銃を向けるのは愛すべき人。
「まさかこんなことやってるなんて、思わなかった。」
「そりゃ、お互い様だろ?」
ディーノは乾いた声で笑った。声が妙に響いて不気味だった。
「…運命なんて本当にあるなら、皮肉だね。」
「そうだな。」
本当はあの頃に戻りたいなんて言いたい。でも、言えない。
指先でそっと彼の手に触れた。
あの時より冷たく感じた。
「できれば、痛くないほうがいい。」
「ああ、任せとけ。」
私は目を閉じた。
頭に突き付けられた銃口が、火を吹いた。
「…ばっか、やろう…。」
その後、赤の中でディーノが一人泣いていたなんて、知るはずもない。
終