etc dream
□パンジー
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「ごめんね…好きな子いるんだ」
目を伏せて謝る和樹を見て…いや、放たれた拒絶の言葉に涙が出そうになった。
「あ、えっと…、そ、そうだよね!でも気まずくならないでね?」
痛くて痛くて堪らない。
でも、私はちゃんと笑えてるだろうか?肩は震えてないだろうか?
和樹が頷いてくれたことが、せめてもの救い。
「ありがとう。」
駆け出したら、泣いてると思われそうで、できるだけ平静を装って踵を返した。
ずっとずっと温めてきた想いは、冷めることもなく。
どうしたら、想ってもらえるんだろう?
気持ちだけが空回りするばかり。
もう、振り返らない。
振り返れない。
だって、こんな顔見せられるわけないじゃない。
小さな嗚咽は、夜のなかに隠したままで。
終
パンジー「私を思ってください」