ABYSS

□赫い瞳に休息を
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しゃがみこんだまま空を見上げる。
見上げる夜空は赤黒く、血が固まった様な色。


彼は蜂蜜色の前髪を邪魔そうに片手でかきあげ、ゆっくりと気怠そうに立ち上がる。

ふと彼を襲うのは身体の重心がずれる様な感覚。
視界が黒く染まり、鈍い痛みが頭の中を駆ける。


いつもの事だと思いながら頭を軽く振ると、視界は白く濁り、やがて元の世界が瞳に写る。

戻った景色は、ただ残酷な大量の赤いモノと、数個ちらつく青。

先程自らが葬ったヒトであったモノの山と、同じ軍部の者の青い軍服。


彼は目の前の赤より鮮烈な赫い瞳を軽く伏せた。






【赫い瞳に休息を】



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