NOVELU
□アネモネ(6)
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6)
やっと見つけた君の背中。今度こそ永遠に掴まえておくために、僕は必死で追いかけた―――――その時、僕の頭の中には、他に何も無かった。
キラとラクスの間は最初こそかなりの距離が開いていたが、すぐにそれは縮まり、彼女が2階への階段を昇っている途中で追いついた。
ラクスの腕をしっかりと握って離さないキラは、すぐに彼女の身体を自分の方に思い切り引き寄せた。
「やっと、掴まえた……」
すぐに息が落ち着いてきたキラに対して、未だ激しく肩を上下させているラクスは彼の胸の中で、懸命にもがいて離れようとする。
「離して…離してください!」
「ラクス…僕の話を聞いて!」
2人の様子をシスターラミアスと数人の子供達は階下から固唾を呑んで見つめている。
誰かが止めるべきなのだろうが、2人の間の微妙な空気を察しているのか、誰も動こうとはしない。
ラクスはなんとか身を離そうとするが、力で叶うはずはなかった。
ふ、と彼女は意識が遠のくのを感じ、キラの胸へ倒れ込んだ。―――――その瞬間、懐かしいキラの香りが彼女を包んだ気がした。
「――ラクス!?」
キラは彼女の崩れ落ちる身体を支えると、ひどく青ざめた顔を覗き込んでその名を何回も呼んだ。