NOVELU
□アネモネ(最終章)
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「レオーン!相変わらず可愛いなあ!」
教会を訪ねてきたカガリは、レオンを見るや飛びつき、キスの雨を降らせている。
こういうのを伯母馬鹿というのだろう。
アスランも意外なカガリの姿に目を丸くしている。
結局ラクス親子は教会に引き返した。
――そもそもレオンの正体をキラに悟られたくなくて逃げ出そうとしたのであるから、もうバレてしまった今では、家出は無意味だった
「で、どうするんだ?ラクス」
カガリは、レオンを膝の上にのせたまま、さりげなく話を振る。
ラクスは儚げに微笑み、首を横に振った。
「わかりません…」
懐から、一枚の写真―――キラと彼女が2人で写って居る写真を取り出すと、いつものように、キラの輪郭をなぞりながら、言葉を続けた。
「キラは、もしかすると、過去に囚われて過ぎているのではないかと思うんです―――このまま彼のところに行くことが、彼のためになるのかどうか…」
「私はな、ラクス」
カガリは、ラクスの持つ写真を見ると、懐かしそうに、目を細めた。
「キラがレオンの存在を受け入れるかどうかが、最初は心配だったんだ……28になって、いきなり6歳の子供が出来るんだもんな。でも、あいつは、当たり前のことのように受け入れたそうじゃないか」
カガリは、彼女独特の、太陽のような笑顔をラクスに向けた。
「ラクスはキラのことを愛している、キラもラクスとレオンを愛してる――――もう、それで良いじゃないか」
ラクスはレオンの顔に視線を移すと、自らと同じ蒼い瞳をじいっと見つめた。
そして、愛しい人と同じ鳶色の、艶やかな髪を。