NOVELU

□knocking on the door (2)
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「人形劇、ですか…?」


思わずラクスはタリアの言葉を繰り返した。

しかし、その言葉には抑揚がないので、果たしてラクスが反対なのか、賛成なのか、タリアには判断がつかない。

「ええ、そうよ。今年の高等部生徒会主催の幼稚舎・初等部交流会は、人形劇に決定したわ―――何か問題でも?」

探るようなタリアの視線に、ラクスはしっかりと首を振り


「いいえ、グラディス先生―――しっかり勤めさせていただきますわ」


と、手渡された書類を持ち直した。

「期待してるわ――ま、貴女に任せておけば間違いないでしょう」


タリアはラクスの肩を軽く叩き微笑んだ。


ラクスが無表情のまま一礼し、足早に教職員室を出ると、

「嫌なのかしら…?」

タリアはとうとう、ラクスの反応が理解できずに頭を傾げていた。






「どう、しましょう…」

嬉しすぎる。


自分の大好きな人形劇が、出し物だなんて……

牛さんや豚さんのお人形を子供達の前で、披露できるなんて…!


自然に足がスキップをしてしまうのではないかと思うくらいに舞い上がり、すれ違う生徒の挨拶も耳に入らず、演目も決まっていないのに、頭の中はすでに劇の構想に入ってしまっているラクスだった。




しかし、彼女の知らぬところでは、そのときにすれ違った生徒に

『今日の放課後のクライン会長はまた怒っていて、怒りのあまりに挨拶もしてくれなかった』

と、またあらぬ噂を広められていた。
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