NOVELU
□knocking on the door (6)
2ページ/5ページ
「やめなさいよっ!」
劇の練習のためにホールに入ってきたキラと、見学に来たシンは、女性徒の大声にそちらを振り向いた。
「壊れちゃうから、やめて!」
3人の男子生徒が、人形をボール代わりに投げてはキャッチし、時には引っ張って取り合い遊んでいた。
それを見かねた生徒が止めようとしているが、彼らはまったく聞こうともせず、大声で笑っている
。
「やめ…」
キラが駆け寄り、止めようとしたときビリっと、布が裂ける音がホール内に響いた。
「あーあ…」
「やべ…」
無残に首が取れてしまったピノキオの人形を片手で持ち、生徒の1人が気まずそうに立ち尽くしていた。
「だから、言ったのに!」
「どうすんのよ!」
女性徒の非難の声を浴び、呆然としていた男子生徒はカッとなり
「なんだよ!―――こんなの、また他の借りればいいだろ!俺が金だすよ!」と怒鳴り返した。