NOVELU
□knocking on the door (6)
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「――――っ!」
キラが怒りに駆られ彼らに掴みかかろうとしたとき、丁度ホールに入って来た人物を見て、静止した。
コツコツと靴音をたてて、歩いてくるラクスを除いて、誰も動く事が出来ず、ホール内はしん、と凍りついたように静まり返り、人形で遊んでいた3人はどんな叱責を食らうかと、血の気が引いた
顔で立ち尽くしていた。
男子生徒の持つ、ピノキオの人形をそっと自らの手に取ると、ラクスはじいっと、身じろぎせずに、それを見つめた。
「あ…の、ラクス様…すみませ…」
すっかり恐縮した男子生徒が震えながら頭を下げたとき、
ポトッ…
首の取れた人形に、雫がひとつ落ちて滲みた。
男子生徒はこれ以上無いくらいに目を見開き、ぽかんと口を開けて、ラクスを見た。
あの、ラクス・クラインが泣いた―――
ホール内が驚きに包まれている中、次々と溢れてくる涙を押さえようと人形を胸に抱き、顔を両手で覆ったとき、誰かが、彼女を優しく包むように皆から隠した。
「あっちに行こう?クラインさん」
キラが彼女を抱きしめるように宥め、そのまま肩を抱くようにしてホールを出た。
その2人の様子にも、皆驚きを隠せなかったが、それよりもラクスが壊れた人形を前にして泣いた
、という事実に誰も声が出ずに、顔を俯かせていた。